エリアの老舗や歴史的なものを訪ねたり、新しい建造物や取り組みなどをご紹介。キーワードは「もっと中原が好きになる!」。

「第39回川崎民俗芸能発表会」 会場をおおいに沸かせた!新城郷土芸能囃子曲持保存会の技芸

0305

昨年末、 「新春の獅子舞は「悪魔祓い」。新城郷土芸能囃子曲持保存会の技芸で新年を寿ぐ」 という記事を執筆する際に保存会の矢嶋 一義さんに取材をしました。獅子舞しか存じ上げなかった筆者はそのときにお聞きした “新城に受け継がれる勇壮な曲持” の存在を初めて知りました。そして、3月に開催される川崎市民俗芸能発表会でその技芸が鑑賞できることを教えていただきました。 「よ~し、絶対観に行くぞ!」 と心に決め、早いものであっという間にその日を迎えたわけです。

 

市内で伝承されてきた民俗芸能が今、一堂に会す!

3月5日、場所は小田急線の向ケ丘遊園駅下車、徒歩5分程度の多摩区役所総合庁舎内にある川崎市多摩市民館大ホールです。午前10時から16時まで、この大トリを務めるのが新城郷土芸能囃子曲持保存会の皆さんです。KIMG1708 (002)

ホールに入るとたくさんのお客さんで席がほとんど埋まっています。ご年配の方々が多かったですが、舞台を見ながら皆さん楽しそうに感想を言い合ったりと、終始なごやかな雰囲気。ちょっと席が遠かったので良い画像がうまく撮れておらず、せっかくの素晴らしい技芸でしたので今回画像はお許しいただければと思います。前回の記事に少し画像が出ておりますので、ご参考になさってみてください。

 

KIMG1712 (002)

保存会代表の矢嶋さんが囃子曲持の歴史をご紹介になっています。司会の女性が、「初めてご覧になるという方、私はもう何回も拝見していますが、手に汗握って “わーっ!” とか“ええっ!?” とか思わず声が出てしまうスゴイ技の数々ですよ!」 とおっしゃるものだから会場もざわざわと期待が高まっていきました。

流麗なお囃子で演技が始まります。語り部のひろやまさんのご説明がわかりやすい!まず登場したのはお獅子。動きにキレがあり、性格まで感じられるような舞です。お囃子が子守歌を奏で、お獅子が眠りにつく様子などとってもリアルでなんだかかわいらしいほど。ひと眠りしたお獅子が目覚めると、そこからお面をかぶった 「もどき」 が登場です!軽やかな曲調に転じ、もどきたちのユーモラスな踊りとキレッキレのお獅子の舞に観客もみんな笑みがこぼれています。それにしてもお獅子の身のこなしが本当にお見事です。

 

持ち上げられる米俵、気合いの声と共に宙を舞う!

そして 「力持ち」 の登場で、重い樽をさまざまな持ち上げる技で魅せていきます。皆さん軽々と持ち上げているように見えますが、顔が真っ赤になっていてその重さを推測させます。「ヤーッ!」、「サーッ!」 と、威勢の良い掛け声と共に気合を入れて持ち上げていきます。

次に 「曲持」 へ、技芸を盛り上げるお囃子と共に55kgもの米俵を用いた基本技を披露します。次いで22kgの米俵に変え枡や脚立で米俵を受け止めるなどいやはやなんともアクロバティックな技の数々!「御所車の蔵入れ」 という技などは、「ええっ!本当ですか!?」 と言いたくなるほどの荒業で、あおむけに四つん這いになった二人のお腹の上に米俵を置いてそこに横切るようにはしごを渡しまして、なんとその上に人が乗っかって米俵を片手で持つ!というもの。一体どうやってバランスを取っているのでしょうか…。拍手喝采です。

クライマックスは 「腹餅」 です!これは取材でお聞きしていたときから興味津々で、いざ目の前で見られるなんて…と興奮しきりの私です。あおむけに寝た力士の上に、俵を積みさらにきねを載せるのですがそれだけでも過酷なのに、そのお腹の上のきねで3人がお餅をつきはじめました!どよめく観衆たち、盛り上げるお囃子。見事お餅ができてフィナーレです。

今回力士に小学校5年生の子もいて、地道に世代を超えて受け継がれていることを目の当たりにしました。会場は実に盛り上がり、興奮したまま皆さん会場を後にしました。また、この日のために川崎市民俗芸能保存協会の方々でお餅をついて準備にあたったそうで、帰りには来場者へふるまわれました。

ちなみに、新城の前は菅獅子舞保存会の皆さんだったのですが、舞い手は大学生や若手社会人で笛には小学校4年生が3人と、非常にフレッシュな面々。「働いても続けていきたい」 、「舞をやりたいと思ってくれる子たちを育てていきたい」 と大学生が言えば、「もっと練習してうまくなりたい」 、「笛を続けていっていつか舞をやれるようにうまくなりたい」 と小学生が応え…。私の隣の方は感動して泣いていました。実際その心意気や歳月を渡って人から人へ受け継がれてきたものの重みや深みを目の前にし、心洗われる感動をいただくことができました。

 

 

 

 

Related posts